切り札はキミの中…研ぎ澄まされた勇気にして アニメ・ゲーム・特撮 2015年03月17日 『仮面ライダー剣』(第1~30話)人類基盤史研究所〈BOARD(ボード)〉。それは“ヒトが地球を制した背景には、進化論で説明できない理由が存在する”との仮定に立ち、その理由を究明するために作られた機関である。彼らは研究対象の、不死の生命体・アンデッドを様々な生物の祖であるとした。しかし3年前、アンデッドの大半の封印が解かれ、人間を襲い始めた。BOARDは所長・烏丸啓の指揮の下、アンデッドを“ラウズカード”へと封印すべく、アンデッドの能力を応用した特殊装備“ライダーシステム”を開発する。流遠亜沙「ヒート!」ヤミヒメ「メタル!」流遠亜沙&ヤミヒメ「さあ、お前の罪を数えろ!」ヤミヒメ「なぜ、この名台詞を貴方とやらねばならんのだ。ツバキがよい」流遠亜沙「えー。そりゃないっすよ」ヤミヒメ「ふん、まあよい。せっかくの特撮ネタだしな」流遠亜沙「てな訳で、平成仮面ライダー第5作『仮面ライダー剣(ブレイド)』を数年ぶりに観返しました。今回は前半の第30話まで語ろうと思います」ヤミヒメ「以前に観た時はVHSではなかったか?」流遠亜沙「うい。実家で療養する前のはずだから、6年以上前だわ。そりゃ忘れるわな」ヤミヒメ「そもそも、なぜ急に観返そうと思ったのだ?」流遠亜沙「先日、紹介したこれを読んだのがきっかけです。読んでたら、覚えてない事がいっぱいあって。『剣』好きと言っていながら、こりゃいかんなと。単純にまた観たかったしね」ヤミヒメ「なるほどな。それで、どうだったのだ?」流遠亜沙「メチャクチャ面白かったわ。過去にオンエアとレンタルで計2回観てるから、思い出補正で美化されてたらどうしようとか少し心配してたんだけど――杞憂だったね。超良かったわ」ヤミヒメ「では、順を追って印象的なシーンに触れてゆくとするか。まずは第1話だが……“オンドゥル語”だな」流遠亜沙「主人公〈仮面ライダーブレイド〉=剣崎一真(けんざき・かずま)の台詞「本当に裏切ったんですか!?」が、役者の滑舌が悪くて「オンドゥルルラギッタンディスカー!?」に聴こえた事から“オンドゥル語”と言われるようになった件ですな。ちなみに、オンドゥルっていうのを知ったのは放送後かなり経ってからで、当時も特に気にならなかったんだけど……今回も特に気になりませんでしたヤミヒメ「戦闘中で、剣崎はまだ新人。本部が壊滅状態で、尊敬していた先輩が裏切ったのかもしれず恐慌状態。この状況での台詞である事を考えれば、確かに気にならんな」流遠亜沙「そうなのよ。なんで、そんなに気になるのかしら? あの状況なんだから、むしろ必死な感じで良いと思うんだけど」ヤミヒメ「以降の「俺の身体は、ボロボロだ!!」や「ぶっ殺す!」も、別段、気になるほどではないな」流遠亜沙「第3話は剣崎の名台詞の1つ「ウェーイ!」が登場します。ただ、これも映像特典でキャストが突っ込んでるのを観るまで気付きませんでした。戦闘シーンなんだけど、すごく自然に言ってるから」ヤミヒメ「第5話では剣崎の先輩〈仮面ライダーギャレン〉=橘朔也(たちばな・さくや)のツンデレがあるな。「お前の言葉に動かされた訳じゃないからな」か。当時(04年)はまだ、ツンデレのテンプレートはなかったのではないか?」流遠亜沙「もう覚えてないわ。ウィキを見ると、ツンデレが一般層に広まったのは05年頃からっぽい。今だったら、完璧にツンデレって言われてるわな。橘さんは第1話冒頭では頼れる先輩だったのが、恐怖心に支配されたり、敵に騙されたりしたんだけど、第15話で復活。見事に伊坂=ピーコックアンデッドを封印するんだけど……この話が切なくも燃えるのよ」ヤミヒメ「死んだ女性に向けた想いをモノローグで告げながら戦うシーンだな。あれは確かに切ない……」流遠亜沙「続く第16話から4人目のライダー〈仮面ライダーレンゲル〉が登場。更に次の第17話からオープニング映像にも追加される。ここまではいなかったのよね。というか、変身前の高校生・上城睦月(かみじょう・むつき)もいないと思ってたんだけど、彼は第1話からいたのね。本人は第13話から登場するけど」ヤミヒメ「睦月の変身ポーズは第19話が初だが、これ以降もカテゴリーエース=スパイダーアンデッドの邪悪な意思に翻弄され続けるという」流遠亜沙「かなりの苦労人よ、彼は。ちなみに、〈レンゲル(正確にはスパイダーアンデッド)〉の声は声優の梁田清之氏です。特撮作品で言うと『仮面ライダーアギト』の水のエルや、『炎神戦隊ゴーオンジャー』のヨゴシュタインの声を演じられた方ですな」ヤミヒメ「封印されて〈レンゲル〉になるまでは、別の方がスパイダーアンデッドをやっているな。封印以降はスパイダーアンデッドも梁田氏が演じられているが」流遠亜沙「そこはスケジュールの都合とかあったんじゃない? それよか第21話ですよ、橘さんの味覚音痴疑惑が発覚する」ヤミヒメ「剣崎達が居候している家の家主・白井虎太郎が上の空で作った不味いスパゲティを美味そうに食べるシーンだな」流遠亜沙「けど、これが面白いのは、それまでの橘さんが駄目な人だったから、そのギャップで笑えるのよ。橘さんが築きあげてきたものなのよ。橘さんは良い人なの。だから敵に騙されたりするけど、とにかく善良な人なんです」ヤミヒメ「……ずいぶんと擁護するな。まあいい。第23話は物語の鍵を握る謎の青年〈仮面ライダーカリス〉=相川始(あいかわ・はじめ)の事を、剣崎が咄嗟に「始!」と名前で呼ぶ回だ」流遠亜沙「この辺から、徐々に剣崎と始の間に信頼が芽生えてくる。始はさ、すごく美味しいのよ。人間じゃなくて、人間を知りたいと思って、人間として生きたいと思って……キャラ的にも立ち位置的にも美味しい役だわよ」ヤミヒメ「喫茶店を経営している母娘と暮らしており、1度は彼女等を巻き込まないために離れ、やがて近くで護るべきだと剣崎に背中を押されて彼女等の元に戻るのだな」流遠亜沙「この辺りから人間の姿になる上級アンデッドが増えてきて、戦いも激化していく。第25話ではエレファントアンデッドの圧倒的な強さに、〈ブレイド〉のマスクが壊され、剣崎の顔が見える“面割れ”があります」ヤミヒメ「戦隊の方ではクライマックス付近でのお約束だが、ライダーでの面割れはあったりなかったりだな」流遠亜沙「そして第26話! ジャックフォーム、キマシタワー!」ヤミヒメ「うるさい。チベットに飛んだ〈BOARD〉の烏丸所長が開発した“ラウズアブゾーバー”によって、〈ブレイド〉が新たなフォームになったものだな。基礎能力の向上に加え、飛行能力が付加されている」流遠亜沙「反則のような強さだったエレファントアンデッドを圧倒するからね。で、これはさっきまで気付かなかったんだけど……ラウズアブゾーバーの声が立木文彦さんでした」ヤミヒメ「『仮面ライダーW(ダブル)』のガイアメモリ音声のか?」流遠亜沙「うい。後に登場する最強フォームであるキングフォームの武器・キングラウザーだけじゃなかったのよ。ただね、ガイアメモリみたく特徴的な芝居じゃない、システマチックでセンテンスも短い音声だから、正直、トーンが低ければ誰がやっても聴きわけられないと思う。べ、別に……聴きわけられないのが悔しくなんてないんだからね!?」ヤミヒメ「判った判った。第29・30話は初期の平成ライダーには珍しいコメディ回だな。始が記憶喪失になり、自分そっくりな青年・三上了(みかみ・りょう)と入れ替わる」流遠亜沙「面白いのよね。始役の森本亮治さんが2役やってるんだけど、始と了のギャップがすごくて笑ってまう」ヤミヒメ「始(はじまり)と了(おわり)というのが意味深だな。ちなみに、森本氏は完全に了に近い気さくな方だ」流遠亜沙「『仮面ライダー鎧武/ガイム』の〈仮面ライダーバロン〉=駆紋戒斗(くもん・かいと)役の小林豊氏も、ご本人は驚くくらいフレンドリーな方でびっくりしたわ。ちなみに、劇場版の撮影と並行してた時期で、始の出番が少ない構成で余裕があったから、始メインの話になったらしいわよ」ヤミヒメ「劇場版は出番が少ない分、かなり良い見せ場があるから、そういう意味でも彼は美味しい役どころだな。そういえば、この2話は劇場版と同じ井上敏樹氏の脚本か」流遠亜沙「でもって、次の第30話で橘さんもパワーアップです。アブゾーブQ(クイーン)、フュージョンJ(ジャック)!」ヤミヒメ「ジャックフォームだな。〈ブレイド〉はイーグルアンデッド(ワシ)、〈ギャレン〉はピーコックアンデッド(クジャク)で、どちらも鳥なので飛行能力がある」流遠亜沙「クジャクって飛べないと思ってたけど、飛べるのよね。ちなみに、『ホビージャパン』の誌上企画の〈レンゲル〉のジャックフォームはゾウなので、必ずしも飛行能力を得られる訳じゃないのよね。〈カリス〉のJ(ジャック)はウルフだし」ヤミヒメ「ウルフか……登場は後だが、小者だったな」流遠亜沙「まあまあ。とりあえず今回はここまでという事で、後半戦に続きます。今、その力が全開する」 PR