ある雨の日に、彼女は願った。 ラノベ・漫画・雑誌・ムック 2016年04月18日 『雨の日のアイリス』著者:松山 剛イラスト:ヒラサト第17回電撃小説大賞4次選考作がついに文庫化。心打つ機械仕掛けの物語を、あなたに。『白銀のソードブレイカー』の著者による、電撃文庫における最初の単行本。発売当時に読んでいるのだが、『ソードブレイカー』を読み終えた際に積んでいた『雪の翼のフリージア』『氷の国のアマリリス』と発売順に読み、だいぶ記憶も薄れていたため改めて読み返してみた。……良い。ロボット達が賢明に生きようとする姿に涙を禁じえない。往年のSF小説を思わせる作風で、ラノベとしてはかなり地味だが、この手のネタが好きな人にはとんでもなく刺さる。余談だが、『アママリリス』でも使われた精神回路(マインド・サーキット)や、ロボットである事を示す耳のパーツなどが共通で、ちょっとニヤリとさせられる。昨今のラノベの傾向からすると、地味過ぎると言っても過言ではない。主人公兼ヒロインのアイリスは、劇中の大半を変わり果てた姿で過ごし、萌え的な要素もほぼない。しかし、読了後の満足感はすさまじいものがある。『ソードブレイカー』は萌え要素も強いのでラノベ好き全般に薦められるが、『アイリス』は人工知能ものが好きな玄人向けといったところ。表紙の美少女メイドを見て、“萌え萌えキュン☆”な内容を期待して読んではいけない。……まあ、表紙に騙されて最後まで読むのはアリだけど。 PR