受け継がれたのは冷血の遺伝子 『ZOIDS/ゾイド』 2014年03月03日 流遠亜沙 「どんげかせんといかん。どうも、流遠亜沙です」 ヤミヒメ 「なんばしょっとね。ふむ、ヤミヒメだ」 ベアトリーチェ 「なんでやねーん。えへへ、ベアトリーチェだよ」 タオエン 「おこしやす。ごきげんよう、タオエンです」 流遠亜沙 「さすがに4人は多いな……」 タオエン 「自分でまいた種です。ちゃんと責任を取ってください」 流遠亜沙 「うい。で、どう? もう馴染んだ?」 タオエン 「問題ありません。可愛い姉と妹に挟まれ、私はとても充実しています」 ヤミヒメ 「最初は身の危険を感じたが、接してみれば良く出来た妹だ」 ベアトリーチェ 「うん。わたしもタオ姉(ねえ)、大好きだよ」 タオエン 「ベアトリーチェ、もう1度言ってもらえますか?」 ベアトリーチェ 「タオ姉、だーい好き♪」 タオエン 「あざといですが――たまりません。ちら」 ヤミヒメ 「……なんだ、その目は? 私は言わぬぞ」 タオエン 「姉さんはツンデレですね。むしろ、それがいい――ふふふ」 ヤミヒメ 「! マイスター、席を変わってくれ」 タオエン 「駄目ですよ。姉さんは私の隣です」 流遠亜沙 「えーっと……そろそろ本題に入ってもいいかしら?」 ベアトリーチェ 「本題?」 流遠亜沙 「これです――」 タオエン 「これはトミー(現:タカラトミー)版の『ジェノザウラー』ですね。これがどうしたのですか?」 流遠亜沙 「実はこれ、2000年の3月2日に発売されたんです」 ベアトリーチェ 「もう14年前なんだね」 ヤミヒメ 「ん? 今日は3月3日だぞ?」 流遠亜沙 「もう、慌てないで――せっかちさん♪」 ヤミヒメ 「イラッとしたので殴ってもよいだろうか?」 タオエン 「構いませんよ。私が許します」 ベアトリーチェ 「これは血を見ずには終わらないね」 流遠亜沙 「いや、あの……すみませんでした」 ヤミヒメ 「まったく。それで、何故、今日なのだ?」 流遠亜沙 「そう、あれは『ゾイド』が復活し、全盛だった頃の話――」 タオエン 「おや、回想に入る感じですか?」 ベアトリーチェ 「回想、入りまーす」 流遠亜沙 「時は世紀末の1999年。待望の復活を果たしたトミー(当時)のオリジナル玩具商品『ゾイド』は、アニメや雑誌と連動する形で最高の盛り上がりを見せていた。 当時中学3年生だったあたしも、ハマってしまい。年内に発売されたキットはすべて買い、アニメも当然観ていた。 そして2000年3月2日、満を持しての新作キット『ジェノザウラー』の発売が決まった。 発売日は1日中そわそわし、学校から帰宅し、すぐに近所のおもちゃ屋に入荷確認の電話をした……が、当時3軒あった近所のおもちゃ屋はすべて完売。あたしは意気消沈しつつ、塾に行った」 ヤミヒメ 「買えていないではないか」 流遠亜沙 「だから最後まで聞きなさいよ。もう、本当にせっかちさん♪」 タオエン 「姉さん、殴っていいですよ」 ベアトリーチェ 「そんな事より、続きは?」 流遠亜沙 「うん。あたしのへこみっぷりを見かねたんだろうね。母親がおもちゃ屋に問い合わせてくれたらしくて、塾から帰ったら、翌日に再入荷する事が判ったのよ。で、無事、ゲット。それが3月3日。もう一心不乱に組んだわよ」 ベアトリーチェ 「そうなんだ。マイスターにとって3月3日はひな祭りじゃなくて、『ジェノザウラー』を作った日なんだね」 タオエン 「ふと気になったのですが、高校受験は終わっていたのですか?」 流遠亜沙 「うんにゃ、目前でした。『あたし、こんな事してていいのかしら』――と思いながら組んでた記憶があります」 ヤミヒメ 「よく合格出来たものだ」 流遠亜沙 「我慢出来なくて……てへぺろ♡」 ベアトリーチェ 「あはは、うざーい♪」 ヤミヒメ 「死ねばいいと思うぞ」 タオエン 「気持ち悪いですね」 流遠亜沙 「まあ、高校生活は最悪だったんだけど――それはいいや」 タオエン 「しかし、当時はおもちゃ屋があったのですね」 流遠亜沙 「『おもちゃのバンバン』が2軒と『ハローマック』が1軒だったかな。今はドラッグストアとかラーメン屋になってる。あの頃は模型店やおもちゃ屋が当たり前にあったけど、もう大型量販店とネット通販に駆逐されてるもんな」 タオエン 「昔は良かった話ですか? すっかり老けこみましたね」 ベアトリーチェ 「ほら、もう30だから」 流遠亜沙 「29! まだ20代だからッ!!」 ヤミヒメ 「よせ、マイスターよ。みっともないぞ」 流遠亜沙 「まあ、そんな事を思い出す3月3日でしたとさ。あの素晴らしき日々は、もう帰ってこないのかしら?」 PR