神宮寺カナコ(以下:カナコ)
「……これ、言わないと駄目なの? 判ったわよ……。
好奇心というのは全くゴキブリみたいね――人の触れられたくない秘密ばかりに、こぞって寄ってくる。鬱陶しくてたまらないわ。
初めまして、神宮寺カナコです」
及川ミズキ(以下:ミズキ)
「愛衣ちゃん大勝利!
初めまして、及川ミズキです!」
カナコ
「言われるがままに連れてこられて台本を渡されたけど、何なの?」
ミズキ
「カナコの台詞は『化物語』の戦場ヶ原ひたぎで、あたしの台詞は『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』の冬海愛衣の名台詞だよ」
カナコ
「なぜ、その台詞を私達が言わされるのかの説明を求めてもいいかしら」
ミズキ
「カナコのイメージCVが斎藤千和さんで、あたしは茅野愛衣さんだかららしいよ」
カナコ
「イメージCVって何?」
ミズキ
「CVはキャラクターボイス、つまり声優さんだね。マイスターは、あたし達の声のイメージをこの人達に設定してるみたいだね」
カナコ
「マイスターって、私達に台本を渡して、ブースの外で指示を出してる金色の鎧を着てる人? 誰なの?」
ミズキ
「――作者」
カナコ
「……ごめんなさい。質問ばかりして申し訳ないけど、さっきから訳の判らない事ばかりだわ。“作者”って何?」
ミズキ
「あたし達の話を小説で書いてる人だよ」
カナコ
「まさかとは思うけど……私達の事が小説になって、公開されている訳じゃないわよね」
ミズキ
「されてるよ? インターネットで誰でも読めちゃう」
カナコ
「……死にたくなってきたわ」
ミズキ
「あはは。今日がカナコの命日になったら、あたしは誕生日が来るたびにカナコが死んだ事を思い出さなきゃいけないね」
カナコ
「え? ちょっと待って……今日、7月7日?」
ミズキ
「そうだよ。ハッピー・バースデー・トゥ・ミー♪」
カナコ
「……ごめんなさい。何も用意してないわ」
ミズキ
「別にいいよ。あ、でも、まだ誰にも祝われてないなー」
カナコ
「…………おめでとう、ミズキ。16歳ね」
ミズキ
「ありがとう。そういえば、カナコの誕生日は?」
カナコ
「4月3日」
ミズキ
「おもいっきり春休み中だね」
カナコ
「別にいいわ。祝ってくれるような友人もいなかったし」
ミズキ
「ちなみに、マイスターも4月3日生まれらしいよ?」
カナコ
「……仮面で見えないけど、ものすごくドヤ顔してそうで腹が立つわね。殴ってもいいかしら」
ミズキ
「今から一緒に、これから一緒に、殴りに行こうか♪」
カナコ
「ミズキは時々、判らない事を言うわよね」
ミズキ
「えへへ」
カナコ
「褒めてないわ」
ミズキ
「ともかく、こんな感じのあたし達のお話『あなたといるからver.1.75』が全話掲載中です。新人賞に投稿した時の『ver.1.0』や、原型になった『ver.ARCHETYPE』もあるので、詳細は作品ページを見てください」
カナコ
「会話はこんな感じでも、内容はこんな感じではないけどね。詐欺もいいところだわ」
ミズキ
「こうやって騙さないと読んでもらえないから」
カナコ
「そうまでして読んでもらう内容ではないわ。私に権限があるなら、今すぐ削除したいくらいよ」
ミズキ
「……カナコは、あたしと逢わない方がよかった?」
カナコ
「もう、その手には乗らないわ」
ミズキ
「あはは、残念」
カナコ
「…………逢えてよかったに決まってるじゃない――」
ミズキ
「うん、知ってる」
カナコ
「……馬鹿」
『あなたといるから』作品ページは
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