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流遠亜沙 ASSAULT formの局地戦な日々

 

流遠亜沙 ASSAULT formが運営するサイト『局地戦用強襲型機動兵器・改』の付属ブログです。

冷却系能力者(あたし)には、あなたの温もりが必要なの……。

『ファナティック・ブレイクスルー』
著者:真慈真雄 
イラスト:明星かがよ

人類の新たな可能性――異能力者『E.X.I.T』が認知され始めた近未来。
発熱能力者の穂村陽は、幼なじみの冷却能力少女――氷上静音たちと騒がしくも馬鹿馬鹿しい日常を送っていた。
しかし、正義感に燃える査察部の水戸仁美が、彼らの前に現れたことで二人の関係は変化を始め――!?



異能バトルものに関しては「もうそろそろ、よくね?」と思っている。
子供の頃は完全にヒーローよりロボットや怪獣に憧れていた事もあり、“ある日突然、特殊能力に目覚める”類の妄想はした記憶がない。
だが、イラストがメチャクチャ好みだったので読んでみたパターン。

正直、序盤は「なんの新鮮味もないテンプレ・ラブコメだな……」だったのだが、読み進めていくと異能が存在する世界の怖さみたいなものが描かれている事に気付く。
ほんの一部の人間にしか発現しない特殊能力――“異能”が存在したとしたら、恐らく能力者に対して一般人は恐怖を感じる。
特に倫理観や判断能力に乏しい子供だと、人を殺しかねない力だから。

実際、主人公はそれを恐れて幼い頃から異能を制御する訓練をするが、ヒロインはお構いなしだったので、未だに制御が苦手だったりする。
この作品のヒロイン・静音の異能は“冷却”で、彼女が起こす厄介事を主人公・陽が“加熱”の異能でフォローしていくというのが基本的な流れ。
学園ラブコメなのでコメディタッチで描かれるが、前述の通り静音は異能の制御が下手で、しかもツンデレなので暴走しまくり――これ、現実世界で自分が一般生徒だったら怖いと思った。

最終的には異能を活かしたラブコメとして終わるのだが、この作品は世に溢れている異能ものに対するアンチテーゼに感じられる。
一部の人間にしか発現しない特殊能力があったとして、それは進化なのか、それとも争いの種となるのか……多分、後者。

まあ、それはそれとして――厄介な女の子が好きで、イラストも気に入ったのなら読んでみていいと思う。
内容は基本的にはラブコメで、この感想で書いているような重い描写はないので悪しからず。
単に、あたしの深読みかもしれないし。
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